不動産登記で「国籍記載」を義務化へ — 最新の動きと背景

2025年12月16日、法務省は 不動産の登記申請時に所有者の国籍を必ず記載する仕組みを導入する方針を発表しました。これは来年度(2026年度)中の施行を目指すというものです。

具体的に何が変わるのか?

これまでの不動産登記では、所有者の 国籍を申告する必要はありませんでした。しかし改正案では、以下のようになります。

①不動産(土地・建物)を取得して登記する際に 所有者の国籍の記載が義務化 されます。

②不動産登記時には、パスポートや住民票など 国籍を証明できる書類の提出も求められる予定 です。

③この義務化は 日本人も外国人も対象 で、すべての新たな不動産登記申請に適用されます。

④既に登記されている不動産については、原則として追加義務はありませんが、希望があれば国籍情報を登録できるようになります。

⑤ただし、国籍の記載自体は 登記簿の一般公開データには載らない予定 で、行政機関内での共有に留められる方針です。

不動産登記における国籍義務化の背景

政府が国籍の記載義務化を進める主な目的は次の通りです。

① 外国人による不動産取得の実態把握

東京都内の新築マンション取得者の調査では、海外居住者の取得割合が約3%というデータもあり、これが国土利用の実態として注目されています。

現状では登記簿に国籍情報がないため、政府は実態把握が困難であり、このギャップを解消したいと考えています。

✅ ② 不動産市場の透明性向上と政策立案

国籍情報を含むデータを行政が共有・蓄積することで、外国人投資や投機的な取得の動向を分析できるようになり、今後の政策立案や市場監督に役立てられます。

不動産登記をすると国籍が公開される? 個人情報保護は?

国籍情報はあくまで 行政内部向けのデータとして扱われる予定 で、一般の登記簿閲覧などの公開情報には載りません。プライバシー保護の観点から、外部への公開は制限される方針です。

今後のスケジュール

①今冬〜来春にかけて パブリックコメント(意見募集) を実施予定。

②2026年度中に規則改正・運用開始を目指しています。

🔍 今回の動きのポイント(まとめ)

項目 現状 改正後
国籍の記載義務 不要 必要
対象 なし 日本人・外国人双方
公開情報 登記簿に非掲載 登記簿に非掲載(内部共有)
施行時期 なし 2026年度中

今後注目されること

この義務化は、単なる統計把握にとどまらず、将来的に 土地利用政策のあり方や外国人の不動産取得規制強化の議論 にも影響を与える可能性があります。政府はこのデータを基に、不動産市場の安定化策や、外交・経済安全保障との兼ね合いを検討していくとみられています。

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