b0473cff4b217e0a89f6c1cf576d7210_s

外国人が日本で不動産業を行うには

例えば、外国人が貿易を行う場合、一般には特別の免許は不要です。

しかし、外国人が不動産業を行うには、宅地建物取引業の免許が必要です。もしこれを無許可で行った場合は、刑事事件となることもありますので、注意が必要です。

特に、中国人や中国企業が日本に進出してくる場合、中国人に対し日本の賃貸用不動産やホテル物件、民泊用物件の販売や物件仲介のビジネスを行いたい、というケースがとても多いです。

その場合、きちんと免許を受けてからでないとこのようなビジネスは行えませんので、無免許でのビジネスは違法となりますのでご注意ください。

865b8c7dbaf1c427818a6e2bf3599084_s

宅地建物取引業(宅建業)とは?

では、日本で不動産業を行うために必要な宅地建物取引業(宅建業)とはどのようなものなのでしょうか?

宅地建物取引業(宅建業と略されます)は、宅地又は建物について次に掲げる行為を業として行うものをいいます。

① 宅地又は建物について自ら売買又は交換をすることを業として行うこと。

② 宅地又は建物について他人が売買、交換、貸借するについて、その代理若しくは媒介することを業として行うこと

つまりは、自社でマンションや一戸建てを建てて販売するデベロッパーや不動産仲介業がこれに該当するとお考えください。

ba9b03b1e8f770c05a974abd88c19964_s

「業として行う」とは?

宅建業に該当するかどうかが問題となる場合、「業として行う」に該当するか、という文言の解釈が重要となります。

なぜなら、「業として行う」に該当しない場合、宅建業免許を取得する必要はないからです。

この点、国土交通省では、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の中で、以下のように述べています。

 

「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」

(1) 本号にいう「業として行なう」とは、宅地建物の取引を社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行う状態を指すものであり、その判断は次の事項を参考に諸要因を勘案して総合的に行われるものとする。
(2) 判断基準
① 取引の対象者
広く一般の者を対象に取引を行おうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。
(注)特定の関係とは、親族間、隣接する土地所有者等の代替が容易でないものが該当する。
② 取引の目的
利益を目的とするものは事業性が高く、特定の資金需要の充足を目的とするものは事業性が低い。
(注)特定の資金需要の例としては、相続税の納税、住み替えに伴う既存住宅の処分等利益を得るために行うものではないものがある。
③ 取引対象物件の取得経緯

転売するために取得した物件の取引は事業性が高く、相続又は自ら使用するために取得した物件の取引は事業性が低い。
(注)自ら使用するために取得した物件とは、個人の居住用の住宅、事業者の事業所、工場、社宅等の宅地建物が該当する。
④ 取引の態様

自ら購入者を募り一般消費者に直接販売しようとするものは事業性が高く、宅地建物取引業者に代理又は媒介を依頼して販売しようとするものは事業性が低い。
⑤ 取引の反復継続性

反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行おうとするものは事業性が低い。
(注)反復継続性は、現在の状況のみならず、過去の行為並びに将来の行為の予定及びその蓋然性も含めて判断するものとする。

また、1回の販売行為として行われるものであっても、区画割りして行う宅地の販売等複数の者に対して行われるものは反復継続的な取引に該当する。

 

上記を見ると、1回の販売だけでは「業として行う」にはあたらない、と形式的に考えている方が多いですが、実際はそうではないことが理解できるかと思います。

このように、1回の販売行為であったとしても、形態によっては「業として行う」に該当する可能性もありますので、宅建業免許が必要かどうか微妙な場合、専門家とよく相談したほうがいいかと思います。

 

93d6c6f2c41debbefd93e4e3c72ab3c4_s

宅建業免許申請の条件

 

1.事務所の条件について

 

宅地建物取引業を行う場合、事務所の設置が必要です。そして、宅建業の事務所は、①「継続的に業務を行うことができる施設」である必要があり、かつ②「他業者や個人の生活(居住)部分からの独立している」必要があります。

①の点については、例えばテント張りや車のように、容易に移動できるような施設や、ホテル等の宿泊施設は不可です。

また、②の点については、一つの部屋を共同使用している場合などには免許を受けることができません。つまり、他の法人や個人事務所と混在していたり、個人の生活部分と混在している場合には免許を受けることができません。

ただし、一つのテナントを共同使用している場合でも、それぞれが固定式のパーテーションなどで仕切られていて、他の事務所を通らずに申請事務所に直接出入りすることができるなど、その独立性が保たれている場合に限って、認められることもあります。このようなケースは微妙ですので、予め専門家にご相談ください。

そして、事務所の数やその所在地によって、免許の種類が国土交通大臣免許(2以上の都道府県に事務所がある場合)になったり、都道府県知事免許(1の都道府県内に事務所がある場合)になったりしますし、またそれぞれの事務所に次項で説明する所定の専任の取引主任者が必要となりますので、事務所の場所は重要です。

経営管理ビザを取得する場合は事務所の独立性がもともと要求されているので、事務所要件が問題になることは少ないですが、永住者や日本人の配偶者等の場合、開業当初は事務所兼自宅ということも少なくありません。事務所兼自宅という形で宅建業を行うことをお考えの方の場合には、宅建業に使用する事務所部分と、居住部分を出来る限り物理的に明確に区別する必要があり、事務所スペースの場所の取り決め方や申請時の写真の撮り方一つにも、注意を払う必要がありますので、予めご相談ください。

尚、法人の場合には、登記上の本店が「主たる事務所」となります。

 

 

2.専任の宅地建物取引主任者の設置

宅地建物取引業の免許を受けようとする本店、支店の各事務所においては、「専任の宅地建物取引主任者」を設置しなければなりません。実務上、中国人等の外国人が経営管理ビザを取得し、宅建業免許を取得しようとする場合、ここが結構な難関となります。

なぜなら、日本に進出してくる場合、経営者が宅建士を持っていることはまれなので、宅建士を持っている従業員を探して雇用する必要があるからです。

日本では、宅地建物取引業法の規定により、宅建業に従事する方5名につき1名以上の専任の取引主任者を設置することが義務付けられています。

その専任の取引主任者は、「専任の」という言葉がついている通り、常勤であることが必要で、他の業者との兼務や兼業は基本的に禁止されます。

逆に、他業者にて既に専任の取引主任者として登録を行っている者は、重ねて専任の取引主任者として登録することはできません。

宅建士を見つけて雇用することが困難だからといって、名義貸しを行うと処罰されますので、絶対に名義貸しは行わないようにしてください。

 

3.代表者及び政令で定められた使用人の常駐

免許を申請する法人または個人の代表者(代表権限を行使できる者)は、原則として事務所に常駐して、業務を行う必要があります。

ただし、何らかの事由により常駐が不可能な場合には、代表権行使を委任した「政令で定められた使用人」を指定し、常勤させることによって、免許を受けることが可能となっております。

「政令で定められた使用人」とは、単なる社員や従業員では足らず、例えば支店における支店長や支配人に相当するような者のことを指しております。

 

4.欠格要件に該当していないこと

宅建業の免許を受けようとする個人事業主や法人またはその役員や個人事業主の法定代理人、政令で定められた使用人(いわゆる支店長)が以下に掲げる欠格事由に該当する場合には、宅建業の免許を取得することはできません。

①成年被後見人、被保佐人、復権を得ていない破産者
②免許を取り消され、取消しの日から5年を経過していない者
③免許取消処分前に廃業し、廃業届から5年を経過しない者
④禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わって5年、または時効の完成などにより刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
⑤一定の罰金刑に処せられ、その刑の執行が終わって5年、または時効の完成などにより刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
⑥免許申請前5年以内に、宅建業に関して不正または著しく不当な行為をした者
⑦宅建業に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
⑧暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
⑨営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人が上記1~8のどれかに該当する場合

例えば、外国人の場合は暴力事件や入管法違反事件等で執行猶予付きの懲役刑が課されることがありますが、仮に執行猶予があっても執行猶予満了までは宅建業免許は受けられません。

まじめに日本で暮らしている方であれば問題ない条件ではありますが、不動産業以外で偽装結婚を仲介して報酬を受けたり、コピー品を販売して摘発されたりすると本業の不動産業を営めなくなりますのでご注意ください。

 

5.営業保証金の供託または保証協会への加入

宅建業免許を取得しただけでは、宅建業の営業を開始することはできません。

営業を開始するためには、免許取得後、3ヶ月以内に、①営業保証金(弁済業務保証金)を供託するか、②保証協会に加入をする必要があります。

この手続きを経たうえでなければ、免許証を受領することができず、万一、期日が経過してしまえば免許は取消となり、また逆に手続きを経ずに営業を開始した場合には、刑事罰の対象となりますのでご注意ください。

ではケースごとに見ていきましょう。

 

①営業保証金を供託する場合

免許の通知を受け取った後に、主たる事務所の所在地を管轄する供託所に所定の営業保証金を供託し、供託書の原本及び写しと、「営業保証金供託済届出書」の正副各1通を提出しなければなりません。

尚、所定の営業保証金とは、本店(主たる事務所)は1000万円、支店(従たる事務所)は1店につき500万円です。

 

②保証協会に加入する場合

①の営業保証金の供託に代えて、指定の保証協会に加入して、保証協会に対して「弁済業務保証金分担金」を納付することで免許証を取得することも可能です。

「保証協会」とは国(国土交通省)から指定を受けた公益法人で、加盟する宅建業者に関し、顧客からの苦情解決、従事者への研修、取引により顧客に生じた債権(損害)の弁済、債務の保証などを行っております。

「全国宅地建物取引業保証協会(ハトのマーク)」と「不動産保証協会(ウサギのマーク)」という2つの保証協会があり、宅建業免許を取得し、保証協会に加入を希望する場合には、どちらか1つの団体に加入しなければなりません。

加入者については前者のほうが多いですが、前者の方が特に許可上有利ということはありませんので、どちらに加入しても構いません。

尚、所定の弁済業務保証金分担金とは、本店(主たる事務所)は60万円、支店(従たる事務所)は1店につき30万円です。

ただし、別に保証協会への入会金等が必要となります。

 

2a1fa6085d346bcb28351acbe016fd13_s

宅建業免許許可申請の必要書類

 

 

 

順番 書類の名称 書類の要否
法人 個人
1 免許申請書
2 相談役及び顧問
100分の5以上の株主又は出資者
×
3 略歴書
専任の宅地建物取引士の専任性確認書類
4 法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書) ×
5 宅地建物取引業経歴書
6 貸借対照表及び損益計算書 (直前1年の各事業年度に係るもの) ×
7 資産に関する調書 ×
8 法人税、所得税の納税証明書(その1) (詳しくはこちらを参照して下さい) 
9 誓約書
10 専任の宅地建物取引士証明書
11 宅地建物取引業に従事する者の名簿
12 事務所付近の地図
13 事務所の写真 →写真の撮り方についてはこちら
14 事務所を使用する権原に関する書面
15 上記書面を確認できる契約書・建物登記簿謄本等(提示)
16 申請者の住民票抄本 ※マイナンバー記載の無いもの ×
17 身分証明書 (詳しくはこちらを参照して下さい) ※外国籍の方は住民票抄本(国籍が記載されているもので、マイナンバー記載の無いもの)
17 後見登記されていないことの証明書(詳しくはこちらを参照して下さい)

表紙
大阪府宅地建物取引業法施行細則で定める書類
1.決算期が到来していない旨の理由書及び開始貸借対照表
(法人において、申請時に第1期目の決算期が到来していない場合に「6.」「8.」の代替書類として添付)
2.同一建物内の代表権行使に支障がない旨の誓約書
(法人代表者が同一建物内にある2法人以上の代表を兼ねている場合に添付。ただし、法人代表者が専任の宅地建物取引士を兼ねてる場合は不可)
3.建物の間取図又は平面図
(一戸建て住宅や集合住宅の一室を事務所として使用する場合、又は一室を他の法人と共同で事務所として使用する場合)

2・3該当
大阪府証紙 33,000円分(知事免許)
登録印紙税納付書 90,000円分(大臣免許新規)
収入印紙 33,000円分(大臣免許更新)

 

42e9387440437cb092ce77f72dd5fc82_s

不動産会社設立に必要な諸費用

 

不動産会社を設立するためには、次のような諸費用が必要となります。ご自身で設立される場合の例ですので、弊所代行サービスをご利用いただく際の料金は異なりますので、ご相談ください。

1.会社設立費用

定款認証手数料 52,000円
印紙代※ 40,000円
登録免許税 150,000円
法定手数料(知事免許) 33,000円
合計 275,000円

不動産業を会社ではなく個人事業として起業される場合は、もちろん上記のような会社設立諸費用は不要となります。

 

2.宅建業免許の取得に必要な諸費用

不動産会社の設立後、不動産業を始めるためには続いて宅建業免許の申請を行わなければなりません。供託金を利用するのか保証協会に加入するのかによって諸費用が大きく異なってくる部分です。

ご自身で手続きされる際の参考例
宅建業免許の法定手数料(知事免許) 33,000円
供託金(営業保証金を供託する場合) 1,000万円
保証協会加入諸費用(保証協会利用の場合) 150万円から200万円弱
合計 1,000万円+33,000円(供託の場合)
150万円から200万円+33,000円(保証協会の場合)

保証協会の入会に関する諸費用は、全宅(ハト)を選択するか全日(ウサギ)を選択するかによっても、数十万円の差が生じます。

不動産会社を設立し、不動産業を始めるまでには、上記のようにある程度まとまった額の費用が必要となります。その合計額をかなり大まかに計算してしまうと、会社設立に必要な諸費用が30万円弱、宅建業免許に必要な諸費用が(通常は保証協会を利用される方がほとんどのため)200万円弱、そして事務所の賃料や諸経費が最低100万円程度からとなりますから、最低限300万円以上は資金として用意がないと、開業前に資金が枯渇してしまいかねません。

もっとも、300万円程度の資金があれば、あとは起業時の低金利融資などを活用し、手持ちの資金を増やすという方法もありますので、資金的な面でご不安がある場合は、予め日本政策金融公庫などへ相談しておくのもよいでしょう。

 

2be95ba11dad0fb75606f05f81f1366e_s

不動産業(宅建業)の免許申請の報酬

不動産業は一件あたりの単価も高く、現在、中国の方をはじめ、外国人の多くが日本の不動産を買いに来ており、非常に有望なビジネスといえます。

しかしながら、外国人が一人ですすめるにはハードルが高いのが現実です。

でも、ご安心ください。

当事務所では、10年以上にわたり、日本で不動産会社を設立したい外国人の宅建業免許取得をサポ-トしております。

どうぞお気軽にご相談下さい。

業務の種類 報酬
会社設立+宅地建物取引業免許申請(大阪府知事) 200,000円(税別)
会社設立+宅地建物取引業免許申請(大臣) 250,000円(税別)
宅地建物取引業免許申請(大阪府知事) 150,000円(税別)
宅地建物取引業免許申請(大臣) 200,000円(税別)

※ その他登録免許税等の実費がかかります。

 

contact-or400