研修ビザとは

 

研修ビザとは、一般企業や公的機関で、業務技術の習得や業務知識の習得のため、一定の期間、就労に該当しない研修を受けるためのビザです。

この研修ビザには、実務研修を含む場合と、含まない場合があります。

ただ、2010年7月1日の入管法改正で新たに在留資格「技能実習」が新設され、在留資格「研修」での活動は、「本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(入管法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄第1号及び別表第1の4の表の留学の項の下欄に掲げる活動を除く。)」と改正されました。
この改正により、制度改正以前に「研修」で行うことができた活動内容から「技能実習1号」に係る活動が除かれ、改正後の「研修」が適用される活動は、実務研修を全く伴わない研修、国や地方公共団体等の資金により主として運営される事業として行われる公的研修などに限定されることになりました。

なお、在留期間につきましては、現行の「研修」においても、1年又は6月となっており改正前の取扱いと変更はありません。

このように、実務研修を含む研修ビザは一定の公的機関にのみ認められていますので、一般の企業の方は実務研修を含まない研修ビザを申請することになります。

近時は、企業のグローバル化が進展し、海外の現地法人から研修で現地採用の外国人を日本の本社に招へいし、研修を行うケース等が増加しています。

具体例としては、例えばベトナム子会社の現地法人を有する大阪の製造業が、日本の機械技術や生産管理の工程を学んでもらうため、ベトナム現地法人のベトナム人従業員を招へいし、6ヶ月日本で研修を行う場合があります。

 

研修ビザの条件

 

上記の通り、研修ビザには、実務研修を含む場合と、含まない場合がありますので、以下それぞれ解説します。

A. 実務研修を含む場合の研修ビザの条件

従前は、一般企業でも研修ビザで実務研修を含む活動を行うことができましたが、現在は、実務研修を含む研修は、「技能実習ビザ」で行うことになっています。

そのため、実務研修を含む研修は、公的研修として認められる研修に限定されます。

1.国、地方公共団体の機関又は独立行政法人が自ら実施する研修
2.独立行政法人国際観光振興機構の事業として行われる研修
3.独立行政法人国際協力機構(JICA)の事業として行われる研修
4.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構石油開発技術センターの事業として行われる研修
5.国際機関の事業として行われる研修
6.(1)~(5)に掲げるもののほか、我が国の国、地方公共団体等の資金により主として運営される事業として行われる研修で、受入れ機関が次のすべてに該当するとき。

I.研修生用の宿泊施設及び研修施設を確保していること。
II.生活指導員を置いていること。
III.研修生の死亡、疾病等に対応する保険への加入などの保障措置を講じていること。
IV.研修施設について安全衛生上の措置を講じていること。

7.外国の国、地方公共団体等の常勤の職員を受け入れて行われる研修

I.受入れ機関が上記6.の付加的要件のすべてに該当していること。
8.外国の国、地方公共団体に指名された者が、我が国の国の援助及び指導を受けて行われる研修で、次のすべてに該当するとき。

I.申請人が住所地において技能等を広く普及する業務に従事していること。
II.受入れ機関が上記⑥の付加的要件のすべてに該当していること。
なお、これらの公的研修を行う場合であればどのような研修でもよいわけではなく、以下の条件に該当することが必要です。

 

1.技能等が同一作業の反復のみによって修得できるものではないこと。
2.年齢が18歳以上で帰国後に修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること。
3.住所地において修得することが困難な技能等を修得しようとすること。
4.受入れ機関の常勤職員で、修得技能等につき5年以上の経験を有する研修指導員がいること。
5.研修継続不可能な場合は、直ちに、受入れ機関が地方入国管理局に当該事実及び対応策を報告すること。
6.受入れ機関又はあっせん機関が研修生の帰国旅費の確保などの措置を講じていること。
7.受入れ機関が研修の実施状況に係る文書を作成し備え付け、研修終了日から1年以上保存すること。

その他にも、不正行為に関する規定、受入れ機関の経営者、管理者、研修指導員などに関する欠格事由の規定があります。

 

 

B.実務研修を含まない場合の研修の主な条件

繰り返しになりますが、一般企業の場合は、研修ビザでは非実務研修しか行うことができません。

実務研修を行うと資格外活動となり、外国人は強制退去処分となったり、研修を行った企業は不法就労助長罪等に問われる恐れがありますので、ご注意ください。

そして、非実務研修を行う場合の研修ビザの条件は次の通りです。
1.技能等が同一作業の反復のみによって修得できるものではないこと。
2.年齢が18歳以上で帰国後に修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること。
3.住所地において修得することが困難な技能等を修得しようとすること。
4.受入れ機関の常勤職員で、修得技能等につき5年以上の経験を有する研修指導員がいること。
5.研修継続不可能な場合は、直ちに、受入れ機関が地方入国管理局に当該事実及び対応策を報告すること。
6.受入れ機関又はあっせん機関が研修生の帰国旅費の確保などの措置を講じていること。
7.受入れ機関が研修の実施状況に係る文書を作成し備え付け、研修終了日から1年以上保存すること。

その他にも、不正行為に関する規定、受入れ機関の経営者、管理者、研修指導員などに関する欠格事由の規定があります。

 

「実務研修」と「非実務研修」の境界は?

ただ、そうはいっても、一番難しいのが、当社の研修は本当に「非実務研修」に該当するのか?「実務研修」と「非実務研修」の境界はどこにあるのか?ということです。

そこでまず、「実務研修」の定義を確認します。

一般の企業が研修ビザで行うことのできない「実務研修」とは、商品の生産・販売する業務又は対価を得て役務の提供を行う業務に従事することにより技能等を修得する研修をいいます。

ここで商品の生産をする業務に係るもので、生産機器の操作に係るものは実務研修に含まれます。つまりは、自社の工場内にある機械を操作して実際に販売用の製品を生産することは、「実務研修」となり、一般の会社では行うことができない、ということです。

一方で、試作品製作実習については、商品を生産する場所と区分された場所又は商品を生産する時間と区分された時間において行われるものは、実務研修には含まれません。

これは、このような場合であれば、試作品製作実習は販売のための生産活動とは切り離されたものとなるからです。

ただし、この場合の「試作品」は,商品として販売される等のことがないことが必要であり,研修生以外の者が若干の点検,仕上げを行うことによって最終的に商品となるものも該当しません。

なぜなら、最終的に商品となるのであれば、これは企業の生産活動のために就労したのと同じことになってしまうからです。

 

「非実務研修」の具体例

その他にも、次のような研修については,研修ビザで活動が可能な「非実務研修」に該当します。

 

1.ロールプレイング研修

これは、顧客を相手とせず,研修生,受入れ機関職員,外部講師等を対象とした接客の模擬訓練をいいます。

例としては、,閉店後の店舗や会議室等で行われるロールプレイング訓練が該当します。

 

2.見学研修

受入れ機関の企業の職員の生産活動や業務を視察しながら,適宜指導を受ける見学

例としては、生産ラインにおいて,研修指導員又は別の職員が作業等を行っているところで,研修指導員が専門的知識の伝達、指導目的で研修を行うものがあります。

 

3.上司、指導員のマンツーマン指導研修

これは線引きが難しいのですが、短期間は実際に機械を触らせてみたい、あるいは少しの間、製品を実際のラインで生産させてみたい、という研修の要望もあることと思います。

そこで、研修生を生産活動等に従事させる場合であっても,上司や指導員が付き添い、マンツーマン形式での指導の下で生産活動等に従事させる場合については,一律に実務研修として取り扱うものではなく,それぞれの作業に従事する期間が短時間である、単に全工程の一部の生産過程を行うに過ぎない場合等客観的に見て生産活動等に従事しているとは認めらない場合には「非実務研修」と認められることがあります。

ただ、ここはやりすぎると違法な実務研修を行うことにつながりかねませんので、研修ビザの範囲の活動を超えてしまわないよう十分ご注意ください。

 

当事務所のサービス・費用

配偶者ビザ等の身分系のビザとは違い、特に、研修ビザは研修のスケジュール等が決まっていますので、研修スケジュールに間に合うよう、早めに余裕をもって申請することが重要です。

また、不許可になると、大幅に計画が狂ってしまい、損害が出ますので、受入企業にとっても研修ビザの問題は非常に重要な問題です。

そこで、当事務所では、外国人の研修が確実に行われるよう、研修ビザの申請をサポートしています。

どうぞお気軽にご相談ください。

 

(標準業務報酬)

1.研修ビザ申請・在留資格認定証明書:15万円+税

 

2.研修ビザ申請・在留資格変更申請:15万円+税

 

 

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