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技術・人文知識・国際業務ビザとは

 

当事務所では、就労ビザの中では、技術・人文知識・国際業務ビザ申請のご依頼は一番多いです。

従来、翻訳、通訳者等の在留資格である「人文知識・国際業務」とエンジニア、建築技術者等の在留資格「技術」は別々のビザでした。

しかし、2015年4月の法改正で、「技術」と「人文知識国際業務」が一つの在留資格になりました。

これは、業務が多様化してきて、ベトナム人技術者に「ベトナム語の通訳」をしてもらったり、逆に翻訳、通訳をしている中国人が中国語のWEBサイト作成を行ったりする必要があるケースが増えてきたからです。

 

技術・人文知識・国際業務ビザに該当する職種

 

上記のように、別々の在留資格が一つになったとしても許可基準は特に変更ありません。

基本的には技術・人文知識・国際業務ビザは大学や専門学校を卒業した外国人が就職した場合に取得できる在留資格で、高卒の場合は、原則として10年の実務経験が必要となります。

文系の仕事としては、国際営業や国際貿易などの職種、通訳や翻訳、デザイナーが代表例です。

理系の仕事としては、SE、プログラマーなどのコンピュータ関連の仕事や、機械系のエンジニアの仕事などが当てはまります。

 

「技術・人文知識国際業務」のビザが認められるためのポイント・条件

「技術・人文知識国際業務」のビザが認められるためのポイント・条件についてですが、留学生を新卒採用する場合でも、海外から社会人を招へいする場合でも最低限満たすべき基準は同じです。

そこで以下、説明します。

1、仕事内容と大学や専門学校の専攻との関連性

まず仕事内容はある程度専門性のある職務内容であることが必要です。単純労働では許可されません。

専門性のある仕事と言っても幅広いですが、文系の職種としては、例えば以下のようなものがあります。

(文系の職種例)

通訳翻訳、貿易、商品開発、総務、経理、広報宣伝、営業、語学教師、デザイナーなど

理系の職種としては、以下のようなものがあります。

(理系の職種例)

プログラマー、SE、その他工学系エンジニア、建築系エンジニアなど

上記の職務内容が卒業した学校(日本もくは日本の短大レベル以上の大学、日本の専門学校)で勉強した専攻の内容と関連性のある職種で働くことが必要です。

学歴と職務内容が一致しないと不許可となりますので、ご注意ください。

ここでよく質問があるのが、「文系の文学部の大学を卒業してエンジニア職で就職できますか?」という質問です。いわゆる文系理系がクロスする案件です。

これについては、「できません」という回答になります。

なぜなら、学歴と職務内容が一致しないからです。よく実態を考えてみるとわかるのですが、法改正により「技術」と「人文知識・国際業務」が一緒になったとしても、理系出身者が文系の職種をできるわけでもなく、文系出身者が理系の職種をできるわけでもありません。

大学や専門学校の専攻内容と、職務内容の関連性が問われるのは以前と同様に審査ポイントとして重要です。

また、同じ文系同士でも、文学部の学生が企業の法務部に配属予定で就労ビザを申請すると、不許可になることが多々あります。

これも、同じ文系の仕事であっても、学歴と職務内容が一致しないからです。

ですので、入管への申請にあたっては、いかに仕事内容と専攻内容が一致しているかを文書で説明できるかが重要です。

この説明がわかりにくかったり、または説明不足で不許可になることがよくあります。

本来なら許可になるべき案件でも説明が下手だと本来許可になるべき案件も不許可になっているケースが多数ありますので、わかりやすい説明をすることが重要です。

 

2、本人の経歴

次に、本人の経歴も重要です。経歴の中では、まず本人の学歴が重要です。

本人の学歴は、裏付けとなる卒業証明書や成績証明書でどんな内容を専攻したのかを確認します。

そしてその専攻科目と就職する会社の仕事内容との関連性が審査されます。

では学歴がない人、例えば海外の専門学校卒や中卒や高卒の方は就労ビザは取得できないのでしょうか。

結論から言うと、「難しいことが多いが、一定の職務経験があれば可能」となります。

具体的には、「就労予定の職種と関連する業務につき3年以上または10年以上の実務経験」があることが条件になります。

例えば、高卒でエンジニアとして就労経験がある場合は、10年の実務経験が必要です。

一方、翻訳、通訳職の場合は、3年の実務経験でOKです。

ここで注意点は、卒業証明書は大学を卒業すればほぼ取得できるのに対し、実務経験の証明は過去の会社から書類をもらう必要がありますので、もし前の会社に連絡ができない人は、実務経験を証明できないことがあります。

特に10年の実務経験を証明するケースで、転職が多い場合は、書類の取得が困難になることも多いと思います。

この場合、実務経験で証明する方法がとれないと就労ビザの許可は取れないことになりますので、実務経験で本当に条件を満たしていても、不許可になることはあることを覚えておいてください。

 

3、会社と外国人との間に雇用契約等の契約があること

たまに就職が決まっていない段階で、就労ビザの相談がありますが、そもそも就職が決まってないとビザは出ませんので注意して下さい。

この契約は通常は雇用契約です。

ここでよく質問があるのが、「派遣契約や期間限定の契約社員でも就労ビザはとれますか?」という質問です。

この契約は雇用契約以外でも派遣契約でも請負契約でも一応取れます。

ただし、報酬が低すぎる、期間が短すぎる等の理由で、収入が不安定とみられると、不許可になることはあります。

 

4、会社の経営状態が良好であること

就労ビザを取得するには、会社の経営状態が安定していることも必要です。

なぜなら、赤字が大きく、売り上げが少ない会社だと、給与を払えなくなりますし、そもそも外国人を雇用する必要性があるのか疑わしいからです。

ここでよくあるのが、「赤字の会社だと就労ビザを取るのは無理ですか?」という質問です。

この点、赤字の会社は黒字の会社より審査上はマイナスです。

 

しかし、今決算が赤字だからビザが絶対取れない、とは言えません。

今は赤字だけど将来はこんなふうに事業展開をしていって黒字になることや今回どうしても外国人を雇用する必要性があることしっかり説明できればケースによっては許可になります。

この説明のためには、事業計画書を作って申請書に添付します。

また、「新規設立法人で就労ビザの取得は可能ですか?」という質問もよくあります。

実際、新しく作った会社は実績がありませんので、当然決算書も出せません。

ですから、新設会社で決算書を出せない場合は必ず事業計画書を作成して提出する必要があります。

 

5、日本人と同等の給与水準であること

技術・人文国際ビザの申請をする外国人の給与は日本人と同じくらいの給与が必要です。

外国人をこうすれば大幅に人件費を下げられるという風に考えている経営者もいますが、実際はそうではありません。

労働基準法は日本で働く外国人にも適用されますので、外国人に対する不当な差別は禁止されています。

同じ会社の日本人社員と同じくらいの給料を払わないと不許可になりますし、後で賃金を勝手に下げたりするとビザの更新で不許可になったり、外国人から労働基準監督署に駆け込まれたりすることになりますので、ご注意ください。

 

総括

就労ビザは外国人が個人で勝手に申請できるものではなく、企業がスポンサーとなり(企業側書類が必須)、入国管理局に申請します。

大企業の場合は規模や実績が証明しやすいため比較的審査が通りやすい側面もありますが、中小企業・零細企業にとっては、会社に関するかなりの書類を提出する必要がありますので、簡単ではありません。事業が小さければ小さいほど難易度は高くなります。

そして、いったん就労ビザ申請が不許可になると、再申請して許可になるまで就労できません。こうなると、企業側にとっては採用計画が狂い、必要な業務ができず、大きな損失が出ます。一方、外国人側も就職がふいになり、また収入も0になってしまい、とても困ります。

ですから、「技術・人文知識国際業務」等の就労ビザについては、事実上「一発勝負」であり、1回で許可を確実にもらうことが重要です。

そのためには、入管法の知識、入管実務に長けたビザ専門の行政書士に依頼するのが近道です。

会社を経営し、発展させていくためにも、是非行政書士の利用をお勧めいたします。

当事務所では、14年以上にわたり、「技術・人文知識国際業務」等の就労ビザのサポートを行ってきております。

就労ビザのことでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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