定款に記載すべき事項

日本に会社設立する場合、まずは定款の作成が必要です。

定款とは会社の根幹となる規則、ルールのことです。定款に記載される内容の例としては、会社の名前(商号)や事業内容、本社の所在地、社員の名前、取締役の選任に関するルールなどが挙げられます。

会社を運営していくにあたって重要な指針となるものなので、定款は会社を設立する前に必ず作成しなければなりません。

そして、定款に記載する事項には、大きく「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3 種類があります。それぞれの概要は次のとおりです。

 

①絶対的記載事項

絶対的記載事項は、定款に必ず記載しなければならない事項です。1つでも記載がなかったり、記載内容が法律に違 反していたりすると、定款は無効になってしまいます。

絶対的記載事項には、「商号」「目的」「本店の所在地」「設立に際して出資される財産及びその最低額」「発起人の氏名および住所」が該当します。

②相対的記載事項

相対的記載事項会社とは、その規定がある場合は、定款に記載する事項です。
必ずしも記載する必要はありませんが、記載しないとその事項については法的効力が生じません。
会社に規定がある場合は、必ず記載するようにしてください。

相対的記載事項は、例えば、「現物出資」「株式の譲渡制限」などが該当します。

また相対的記載事項には「変態的設立事項」という事項が含まれます。これは現物出資や財産引受など、あまり一般的ではない手続きを利用する場合に記載が必要になるものです。

③任意的記載事項

任意的記載事項とは、定款に記載するかどうか、自由に決めてよい事項です。
定款に明記しておくと、その内容を確認でき、のちのトラブルを防ぐ効果などが期待できます。
ただし任意的記載事項一度記載すると、これを変更するには定款変更の手続きが必要になります。
「役員の人数」「役員の氏名・住所」「公告の方法」などが該当しますが、これらの事項はいずれも定款に記載しておくのが一般的です。

 

定款作成のルール

定款の綴じ方や文字の訂正方法にはルールがあります。ルールを守って作成してください

まず、用紙のサイズはA4が一般的です。

用紙の種類にはきまりはありませんが、重要な書類なので、長期間保管していても劣化しない用紙を選びましょう。

文字を訂正する場合は、訂正部分に二重線を引き、その上に正しい文字を記入します。修正前の文字が判読できるように線を引いてください。修正液は使えません。

また訂正したページの上の余白に「O字削除、O字加入と書いて、発起人全員の捨印(実印)を押します。
なお公証役場などで訂正箇所が見つかることもあるので、あらかじめ、どこか1カ所に発起人全員の捨印を押しておくようにしてください。

 

定款認証手続き

完成した定款は、ただ保管しているだけではいけません。公証役場(公証人役場)で公証人の認証を受けることによってはじめて、定款は法的な意味を持つのです。

定款の認証とは、法務大臣から任命された公証人が、定款が正しく作成されていることを証明する手続きです。定款を作成したら、必ず公証役場に行って、定款の認証を受けてください。

公証役場へは、原則として発起人全員が行く必要があります。

ただし委任状を作成すれば、代表者1人に任せたり、行政書士や司法書士など発起人以外の第三者を代理人とすることができます。

公証役場は全国にありますが、会社の本店所在地を管轄する法務局に属する公証人役場に行ってください。たとえば大阪市に本店がある場合は、大阪府内にある公証役場に行くことになります。

公証役場の所在地は、「日本公証人連合会」 のサイトなどで調べることができます。

 

定款は認証前に事前チェックを受ける

公証役場によっては、作成した定款をファクスで送ると、事前に内容をチェックをしてくれます
事前チェックをしてもらえる場合はぜひ利用してください。

チェックを受けておくと、訂正があれば直しておくことができるので、公証役場での認証手続きが楽になります。

公証役場へ行くときは、定款3通のほかに、発起人全員の印鑑証明書などを持っていきます。

4万円の収入印紙は、郵便局などで購入しておきます。持参すべきものや受付時間については、必ず事前に公証役場に確認してください。不備があると出直すことになってしまいます。

定款には4万円の収入印紙を貼ります。ただし印紙を貼るのは3通のうち1通のみでOKです。

収入印紙を貼った定款が、公証人役場の保存用となります。

なお、電子定款認証を行政書士に依頼した場合は、4万円の収入印紙を貼る必要はありませんので、印紙代の節約になります。

公証役場では、提出した定款を公証人がチェックします。大きな訂正がない限り、認証はその日のうちに終わります。

認証がすんだら、1通を原本として公証役場で保存し、残りの2通が戻ってきます。

このうち 「謄本」と朱印されたものは設立登記申請の際に法務局へ提出して、もう1通は会社で保管します。

訂正があった場合は、公証人の指示に従って訂正してください。

訂正があったときのために、定款の余白に捨印(実印)を押しておきましょう。

重大な訂正が見つかった場合は、定款を作り直すことになりかねません。絶対的記載事項がすべて記載されているかなどは、十分チェックしてください。

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