貸金業の登録なく金利をもらって貸付をするビジネスを行うのは違法

外国人の方は、日本人と比べ、友人同士で気軽にお金の貸し借りをするケースが多いように思います。

そして、金利を取らずに単に友人が困っているから貸してあげるだけであれば、一般的に貸金業の登録は必要ありません。

一方で、金利を取って同国人に貸し付けるような場合は、「貸金業の登録」が必要となります。

もし貸金業の登録をせずに、お金を貸し付けて金利を取るビジネスを日本で行うと違法になります。

外国人は、「自分の国で大丈夫であれば、日本でも同じことをやっても大丈夫」と考えがちです。しかし、日本の法律は自国の法律と違うこともよくあります。

日本では、「法律の不知は原則として罰する」ことになっていますので、外国人で、法律を知らなかったからといって逮捕されないわけではありません。

実際、最近でも、貸金業の無登録営業でベトナム人が逮捕されています。

参考記事:埼玉新聞記事より引用

無登録で貸金業を営み高金利で貸し付けたとして、県警国際捜査課と生活経済課、児玉署の合同捜査班は13日、貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(高金利)の疑いで、前橋市青柳町、ベトナム国籍の無職の男(26)を逮捕した。

逮捕容疑は、群馬県知事などの登録を受けずに貸金業を営み、昨年3月31日から9月15日ごろまでの間、3回にわたり、ベトナム国籍の20代男女3人に現金計80万円を貸し付け、法定金利を超える利息で契約した疑い。「ベトナム人同士なので特に悪いと思わなかった」と容疑を認めているという。

国際捜査課によると、男は法的金利の約4倍となる日利0・8~1・13%で契約。客は全てベトナム人で技能実習生などだった。フェイスブックで広告を出して客を募集。十数人の客に1人7~30万円を貸し付けたとみられる。

昨年5月、美里町のアパート一室に偽造在留カードが誤送達される事案があり、県警は8月、入管難民法違反(偽造在留カード収受未遂)容疑でベトナム人の女(33)を摘発。偽造カードの作成を依頼したのが男と判明し、10月に同法違反(偽造在留カード提供未遂)容疑で逮捕していた(いずれも起訴猶予)。

自宅など関係先の捜索から、男が無登録で貸金業を営んでいた疑いが浮上して捜査を進めていた。

貸金業の登録は非常に困難

ここで、貸金業の登録をすれば問題ないのでは?と考える方も多いかもしれません。

でも実際は、外国人はもちろん、日本人でも貸金業の登録は非常に困難です。

そこで以下、貸金業登録が困難な理由を説明します。

貸金業とは?

まず、貸金業とは、「金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介を業として行うもの」をいいます。

「業として」といえるかは微妙な判断になりますが、基本的には「反復継続して」「有償で」行っていれば、「業として」にあたります。

一般的に、1人の友人に1回だけ3%の金利を取って10万円で貸付をしたのであれば、「業として」とは言えないと思います。

ただ、1回であっても、インターネットでお金に困っている人を募集し、一人が応募し、その人に3%の金利を取って10万円で貸付をした場合は「業として」に該当する可能性があります。

この違いは、「ビジネス目的か」という判断基準が大きいです。ビジネス目的であれば、1回でも金利を取れば、貸金業にあたる可能性がある、ということです。

貸金業というと、消費者金融をイメージする方も多いと思います。しかし、消費者金融だけが貸金業登録が必要なわけではありません。実際に、リース会社、クレジットカード会社、信販会社など、資金の貸付を行う会社は貸金業登録を受けています。

その他、「給与ファクタリング」という方法でのビジネスも貸金業に該当します。以前は「給与ファクタリング」は貸金業かはっきりしない面がありましたが、近時金融庁が公式見解で「給与ファクタリングは貸金業に該当する」旨の見解を出しています。

給与ファクタリングとは、個人向けの資金調達方法の1つです。

会社と会社員の間には雇用契約があり、その主な内容は「仕事をしてもらう代わりに給料を払います」というものです。そして会社員が会社から給料を請求できる権利を「給与債権」というのです。

そしてこの給与債権は第三者に譲ることができます。債権である給与を会社員がファクタリング会社に譲り、給料日前にファクタリング会社からお金を受け取る、というのが給与ファクタリングの仕組みです。

会社員で、給与前に大きなカードの支払いがあったり、家族の入院費用の支払いがあったりして、資金繰りに困ることがあります。

その時に、必要なときに柔軟な資金調達ができる、フリーター・主婦・信用ブラックでも利用できる、などのメリットを感じ、このサービスを利用する方がいました。

そして、業者はこれまで、この取引は債権の売買であって貸金にあたらないとして、貸金業法のの上限金利を超える法外な「手数料」を取っていました。そのため、専門家からは「闇金の再来」とも言われていました。

そこで、金融庁もそのような点を問題視し、公式に「給与ファクタリングは貸金業に該当する」旨の見解を出したものと思われます。

従いまして、「給与ファクタリング」は貸金業に該当しますので、貸金業の登録が必要な他、法定金利を超える貸付はできません。

貸金業の登録の区分

貸金業登録には2種類あります。

知事登録

→一つの都道府県にだけ営業所を設置する業者が申請する登録で、各都道府県知事へ申請を行います。通常は、こちらのご相談が多いです。

財務局長登録

全国展開する場合等、2つ以上の都道府県にわたって営業所を設置する業者が申請する登録で、所在地を管轄する各財務(支)局へ申請を行います。

※地域・条件によっては、日本貸金業協会が窓口となる場合があります。

登録の有効期限

登録の有効期間は3年間です。

有効期間後も引き続き営業を続ける場合は、有効期間の満了する5ヶ月前~2ヶ月前までに更新手続きを行う必要があります。更新手続きを忘れると登録は失効してしまいますのでご注意ください。

貸金業登録の必要な条件

1. 欠格事由

→登録を受けようとする者が下記に該当するとき、又は申請書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、もしくは重要な事実の記載が欠けているときは、登録を受けることができません。

a.破産者で復権を得ない者
b.登録取消しの日から5年を経過しない者
c.禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
d.貸金業法又は貸金業に関連する法律等に違反し、罰金の刑に処せられその刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
e.暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
f.貸金業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として内閣府令で定める者
g.未成年者(その法定代理人がア~キの1つに該当するとき)
登録を受けようとする者の役員又は政令で定める使用人のうちに前記ア~カのいずれかに該当する者のあるもの
h.暴力団員等がその事業活動を支配する者
i.暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者織図を定めていること

2. 財産的基礎があること

純資産額(貸借対照表において資産の合計額から負債の合計額を引いた額)が5,000万円以上あることが必要です。

3. 営業所又は事務所を設置し、固定電話を設置していること

営業所又は事務所は必ず設置しなくてはならず、営業所は、原則として独立したオフィスであることが望ましいです。

ただし、貸金業のオフィスが他の事業所と同一フロアにあっても扉やパーテーション等で区切られている場合は、独立の営業所として一応認められます。

もっとも、申請前に行政との打ち合わせを行っておくのが好ましいと考えられます。

また、オフィスの実態があることの証明の一つとして、各営業所には固定電話の設置も義務付けられています。固定電話については現地調査の際に、当該電話番号に誤りがないか実際に電話をかけて調査しますので、これから番号を取得します、とかでは登録できません。

営業所を賃借している場合には、賃貸人の貸金業の営業所として使用する旨の承諾書が必要となります。また、賃貸借の契約期間は2年以上あることが必要です。

4. 貸金業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていること

①定款の事業内容が法令に適合していること

→定款及び登記簿の事業目的欄に「貸金業、金銭の貸付け、融資」等の貸金業を営む旨があることが必要です。

②常務に従事する役員のうち、貸付けの業務に3年以上従事した経験を有する者がいること

③営業所等ごとに貸付けの業務に1年以上従事した経験を有する者が常勤の役員又は使用人(従業員)として1人以上在籍していること

④資金需要者等の利益の保護を図り、貸金業の適正な運営に資するため十分な社内規則を定めていること。

→社内規則の作成にはさらに細かいルールがありますので、しっかりした社内規則が必要です。こちらの社内規則は一般の方が作成するのは難しく、ほぼ100%専門家に依頼していると思われます。

貸金業登録は外国人が開業するにはかなりハードルが高い

上記からわかるように、まず、「純資産額(貸借対照表において資産の合計額から負債の合計額を引いた額)が5,000万円以上ある」会社はそうそうないので、まずそこで大部分の会社が脱落します。

また、「常務に従事する役員のうち、貸付けの業務に3年以上従事した経験を有する者がいる」という人的な要件も、貸金業者で勤務経験があり、そこから独立したような方が別会社で貸金業を行うケースでないといけませんから、「貿易業に加えて貸金業を始めよう」という場合は、経験年数が足りず、まず登録にはいたりません。

ですので、一般的には非常にハードルの高い許認可事業であるといえます。

当事務所のサービス

上記のように、貸金業登録は一般的にはかなりハードルの高いものですが、当事務所では、貸金業の登録をお考えの事業者様のため、貸金業の登録代行サポートを行っております。

貸金業の登録を本気でお考えの方は、どうぞご相談ください。

業務報酬(税別、実費別)

1.貸金業登録申請サポート:30万円~(※個別見積り)

※上記には申請に必要な証明書類の実費、社内規則・組織図の作成は含みません

2.貸金業登録に必要な社内規則・組織図の作成:50万円~(※個別見積り)

※登録免許税 15万円別途必要

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