Q.私は、民泊経営をしている中国人で、現在経営・管理ビザで3年目です。事業運営は手数料を払って民泊運営代行業者に全面的に委託しています。民泊事業は順調で、利益も出ています。しかしながら、先日経営・管理ビザの更新申請をしたところ、不許可になりました。今まで問題なく更新されていたのに、急に更新が不許可になり、民泊の運営にも支障をきたし、本当に困っています。どうしたらいいでしょうか?
A.確かに、2025年10月の改正前であれば、それでよかったかもしれません。しかし、改正後は、大幅に経営管理ビザの要件が厳格化されていますので、今まで更新が許可になっていたケースでも、不許可になるケースが多くなります。
特に、民泊経営においては、経営管理ビザを取得する手段として物件を取得し、運営を他事業者に丸投げする事例が問題視されていました。
そのため、改正後は、事業運営を丸投げするようなものは事業実態がないものとみなされ、不許可になるケースが多くなると思います。
今回のケースにおいても、事業運営は手数料を払って民泊運営代行業者に全面的に委託していたようですので、その点が問題視された可能性は高いといえるでしょう。
以上を踏まえたうえで、今後の対策は以下の通りです。
1 自前で“本格的な民泊事業運営体制”を作る必要がある
前述のように、民泊事業を民泊運営業者に丸投げして利益だけ得るという事業スキームでは、今後経営管理ビザの更新を行うことは難しくなります。
清掃や工事等、部分的に委託することはもちろん問題ありませんが、基本的に民泊事業に自前(自社)で運営していくことが必要になるでしょう。
2.民泊のみでビザ要件を満たすには投資規模と事業計画がかなり重い
改正後は資本金3,000万円・常勤職員1名以上・事務所の確保などが必須です。宿泊設備の整備、家具・備品、事務所スペース、スタッフの人件費といったコストを含めると、実質的にはかなりの資本力と運営能力が求められます。個人で1軒の物件を民泊運営する「大家兼経営者」という形では、事業規模としては小さすぎ、不許可になる可能性が高まりますので、ハードルが高いと思いますが、事業規模の拡大が必要です。
3.さらに「法令遵守」「適法な許認可取得」が必須
民泊事業自体も、住宅宿泊事業法、あるいは旅館業法(簡易宿所許可)などの法令・条例対応が求められ、2025年の法改正で安全基準・建築基準や行政監査も厳しくなっています。
ちょっとした違法行為があっても今後は不許可になるリスクが高くなりますので、法令順守や必要な許認可手続きをきちんと行うことが重要です。
当事務所では、20年近くにわたり、経営管理ビザのサポートをしてきておりますので、お困りの方は、お気軽にご相談ください。


