特別高度人材制度(J‑Skip)(Japan System for Special Highly Skilled Professionals)制度の概要

「J-Skip」は、正式には「Japan System for Special Highly Skilled Professionals(特別高度人材制度)」と称され、出入国在留管理庁(Immigration Services Agency of Japan)により、2023年4月から導入された制度です。
主に、学術研究、専門・技術、経営・管理の分野で「高度に専門的な能力・経験・年収を有する外国人」を対象として、従来の「ポイント制による高度専門職(HSP:Highly Skilled Professional)」とは別枠で設けられた在留資格制度です。

制度名の「J-Skip」は、英語で “Japan System for Special Highly Skilled Professionals” の略称として使われています。

この制度が導入された背景には、以下のような点があります。

①日本がグローバルな人材、特に「世界水準の知識・技能・事業開発能力を持つ外国人」をもっと積極的に受け入れ、研究開発・イノベーション・国際企業展開を促進したいという意図

②従来のポイント制制度(高度専門職ポイント制)が、条件が複雑かつ運用・評価がハードルが高いという指摘があり、それを補完または拡充する制度として、明確な年収・職歴・学歴要件でシンプル化を図る流れ

③外国人高度人材を呼びこむことで、配偶者・家族帯同・永住への道筋など優遇措置を用意し、日本国内への定着・活躍を促す設計。

特別高度人材制度(J‑Skip)(Japan System for Special Highly Skilled Professionals)の対象となる活動類型

J-Skipで認められる「在留資格『高度専門職1号』」の活動内容には、次の3つの類型があります。

【類型 活動内容の例】
(イ) 高度学術研究活動 大学・研究機関との契約に基づく研究、教育、指導(例:大学教授、研究者)
(ロ) 高度専門・技術活動 自然科学または人文科学分野の知識・技術を要する業務(例:新製品開発エンジニア、国際弁護士)
(ハ) 高度経営・管理活動 企業の経営・管理に従事する活動(例:グローバル展開企業の経営者・管理職)

特別高度人材制度(J‑Skip)(Japan System for Special Highly Skilled Professionals)の 主な要件

J-Skipとして「特別高度人材」に認定されるための主な基準は、「学歴または職歴+年収」であり、ポイント制ではなく明確な基準が設定されています。

具体的には以下の通りです(2025年時点で公表されている典型的な水準):

(イ)・(ロ) の類型(研究・技術)
・ 修士号以上取得かつ年収 2,000 万円以上、または
・ 実務経験10年以上かつ年収2,000 万円以上。

(ハ) の類型(経営・管理)
・ 事業の経営・管理に係る実務経験5年以上かつ年収4,000 万円以上。

年収の「額」は、申請予定の日本国内の雇用契約先・活動機関から支払われる 見込み年収 を基準とします。

申請時には、日本国内に契約機関(雇用先)または活動機関があることが必要です。※単に「日本に来てから探す」という形では原則適用が難しいとされます。

特別高度人材制度(J‑Skip)(Japan System for Special Highly Skilled Professionals)の優遇措置・メリット

J-Skipが認定された「特別高度人材」として活動を行うことで、従来の「高度専門職(ポイント制)」よりも更に拡充された優遇措置を受けることができます。以下に代表的なメリットを紹介します。

①在留期間「5年」での付与が原則。

②在留歴に関する「永住許可」要件の大幅な緩和。例えば、通常より短期間(1年程度)で永住申請を検討できるケースもあると説明されています。

③配偶者の就労が原則フルタイム可能となる(一定条件のもと)。

④家事使用人の雇用(一部条件下)。

⑤一定条件で親の帯同も可能。

⑥空港等での入出国・在留手続きにおける優先レーンの利用。

特別高度人材制度(J‑Skip)(Japan System for Special Highly Skilled Professionals)手続き・申請の流れ

申請の流れは以下のようなステップです。具体的な書類・処理期間はケースによって異なりますので、専門家(行政書士・入国管理機関)に確認することをお勧めします。

①日本国内の雇用機関・活動機関との契約(雇用契約/活動契約)を締結。

②申請者本人の学歴・職歴・年収見込みがJ-Skipの要件を満たしていることを確認。

③在留資格申請(例えば「高度専門職1号(特別高度人材)」)を申請する。

④在留資格認定証明書交付後(場合によって)、在外日本公館でのビザ発給手続き。

⑤日本入国・在留カード受領・日本での活動開始。

1年以上活動すれば「高度専門職2号(永住可能)への移行」など次ステップを検討可能です。

特別高度人材制度(J‑Skip)(Japan System for Special Highly Skilled Professionals)申請で注意すべき点は?

年収基準は「予定年収」であって、過去の年収ではなく、契約先から支払われる見込み額が基準となります。

日本国内に契約・活動機関が確定していないと申請自体が認められにくい制度となっています。

全ての高度専門職活動が自動的にJ-Skipに移行されるわけではなく、要件をクリアした「特別高度人材」としての審査・認定が必要です。

申請書類準備・実務経歴など専門的な知識が必要となるため、早めに専門家に相談することが望ましいです。

制度自体が比較的新しい(2023年導入)ため、実務運用・条件の細則が変更される可能性があります。

日本で活躍を目指す方へのメッセージ

もしあなたが、研究者・技術者・経営者として以下のような状況に近いのであれば、J-Skipは非常に魅力的な選択肢となり得ます。

①修士号以上を取得しており、年収2,000万円以上の契約が見込める、または職歴10年以上でその水準に近い見込みがある。

②企業経営・管理の立場で、年収4,000万円以上、経営管理実務経験5年以上を有している。

③日本国内の企業・研究機関と契約・活動機会が確定しており、日本で中長期的に活動・定着したいという意向がある。

④配偶者の就労・長期在留・永住など将来も日本で活動・生活基盤を築きたいという視点を持っている。

この制度を活用すれば、在留期間の長期化・配偶者就労・永住の道筋など、キャリア・生活面で大きなメリットがあります。制度の趣旨としても「日本でイノベーションを創出・牽引する人材」に対して、より手厚い受け入れ枠を提供するものです。

まとめ

「特別高度人材制度(J-Skip)」は、従来の高度専門職制度を補完・拡充する形で、学歴・職歴・年収という明確な基準で優秀な外国人材を受け入れ、かつ日本での活動・定着を促進するための制度です。日本で高度な専門性を活かした活動を検討されている方にとって、非常に魅力的なビザ制度と言えます。

当事務所では、特別高度人材制度(J‑Skip)(Japan System for Special Highly Skilled Professionals)を目指す方のため、随時相談を行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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