J-Findビザ申請とは
「J-Find(Future Creation Individual)」は、Immigration Services Agency of Japan(出入国在留管理庁)とMinistry of Foreign Affairs of Japan(外務省)が2023年に導入した、新しい在留資格制度の一つです。
この制度は、主に「海外の優秀な大学を卒業したばかりの若手人材」が日本で 就職活動をする、または起業準備を行う ための在留資格で、かつてはそのような活動を目的として日本に来る選択肢が限られていた外国人に新たな道を開くものです。
なお、この在留資格は「特定活動(Designated Activities)」として扱われます。
J-Findビザ申請の対象・適用条件
J-Find を申請するために満たすべき主な条件は以下の通りです。
①学歴・大学の要件: 海外の大学(※)で学士またはそれ以上の学位を取得しており、その大学が世界大学ランキングの少なくとも2つの指標(例えば、QS Quacquarelli Simmons、Times Higher Education、Shanghai Ranking Consultancy)で上位100位以内にランクインしている大学であること。
※「該当大学リスト」が外務省/入管庁から公開されています。
②卒業からの期間:卒業後5年以内であること。
③活動内容:日本国内で「就職活動」または「起業準備活動」を主たる目的とすること。さらに、それらに付随する就労活動(生活費補填など)も認められています。
④資金要件:日本での滞在をスタートできる十分な資金を保有していること。概ね 20万円程度(日本円) の自己資金が目安とされています。
⑤年齢:満18歳以上であること。
⑥在留期間・滞在条件:在留期間は 6 ヶ月または1 年など個別に決定され、最長で 2 年まで延長可能 です。
⑦滞在中は「主として就職活動・起業準備」が活動目的となるため、通常のフルタイム就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)とは異なります。就職先が決まれば、適切な就労資格(在留資格)への変更が必要となります。
⑧家族(配偶者・子ども)の同行も可能で、「指定活動(J-Find の配偶者・子)」の在留資格で滞在できます。
J-Findビザ申請の主なメリット・特徴
このビザは、日本で 就職活動・起業準備を目的に滞在できる 在留資格が整備された点が最大の特徴です。これまで「就職先を探すためだけに日本に来る」という枠組みは限定的でした。
就職活動中や起業準備中であっても、生活費補填のための一定の就労活動が認められている場合があります。
他の在留資格取得とは異なり、必ずしも「雇用先が決まってから来日」というステップを踏む必要がないという点で、比較的柔軟な枠と言えます。
J-Findビザの申請手続きの流れ・申請のポイント
まずは、対象大学卒業など条件を満たしているかを自身で確認することが重要です。
外務省・入管庁のウェブサイトから「応募書類」「活動計画書(Description of Intended Activities)」「履歴書等(CV)」などのフォーマットを取得し、提出準備をします。
国・地域によっては、在外日本大使館・領事館で「在留資格(Visa)」の申請が可能で、事前に「在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility; COE)」を取得しないケースも報告されています。
ただし「COEがないと申請できない」「日本国内で変更申請する必要があった」という体験談もあり、国・状況によって実務対応に差があります。
必要書類例には、卒業証明書、銀行残高証明、活動計画書、履歴書、パスポート、写真などが含まれます。
J-Findビザ申請の注意点・留意点
在留期間中に「起業がうまく行かず、就職先も見つからなかった」「主な活動が就職活動・起業準備から逸脱した就労活動になっていた」といった場合、更新が難しくなる可能性があります。
「この制度があるから日本に行けばすぐに就職・起業できる」というものではなく、あくまで「活動を行うための滞在枠」である点を理解することが大切です。
日本語・日本のビジネス文化・就職環境など、制度以外の準備も重要です(例:日本語学習、就活・起業準備、ネットワーク構築など)。
制度自体が比較的新しく、運用がまだ整備中という指摘があります。申請・更新・その後の就職・起業移行まで含めて準備をしておくことが望ましいです。
日本で活躍を目指す方へのメッセージ
もしあなたが以下のような方であれば、J-Find は非常に魅力的な選択肢となると思います。
①海外の上位100位以内の大学を卒業・修了しており、卒業から5年以内である。
②日本で就職活動をしたい、または日本で起業を視野に入れている。
③日本での生活に向けた資金・準備が整っており、言語・文化面も含めて挑戦を考えている。
④就職先が確定していないが、日本での可能性を探したいという意欲を持っている。
この制度によって、「就職先が決まっていないと日本に来られない」といったハードルが一部下がったと言えます。とはいえ、その後のキャリア移行(例えば就職先決定後の就労ビザへの変更、起業後のビジネス展開など)には、別途しっかりとした計画と準備が必要です。
まとめ
J-Find(Future Creation Individual)は、海外優秀大学卒業者が日本で 就職活動・起業準備 を行うための新しい在留資格で、最大2年の滞在が可能です。学歴・卒業後の期間・資金準備など明確な適用条件がある一方で、在留期間中に「活動を行う」ことが求められ、すぐに就職・起業が決まるわけではないという点も留意が必要です。
日本でのキャリア構築、起業の可能性を検討されている外国人にとって、J-Findビザは非常に興味深い制度です。もし「自分が条件を満たせるか」「どんな書類を準備すべきか」「日本での就職/起業準備はどう進めたらよいか」といった具体的な相談があれば、ぜひお問い合わせください。