法務省は、3月17日に、下記のような緩和策を発表しています。

(※3月17日法務省資料より引用)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための窓口混雑緩和策について

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う諸情勢に鑑み,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止する観点から,在留申請窓口の混雑緩和策として,3月又は4月中(注1)に在留期間の満了日(注 2)を迎える在留外国人(在留資格「短期滞在」及び「特定活動(出国準備期間)」で在留する外国人を除く。)からの在留資格変更許可申請及び在留期間更新許可申請等については,当該外国人の在留期間満了日から1か月後まで受け付けます。

(注1)4月中に在留期間の満了日を迎える方についても,新たに取扱いの対象とすることとしました。
(注2)本邦で出生した方など3月又は4月中に在留資格の取得申請をしなければならない方を含みます。

今回の発表で、3月に在留期間満了の方に加え、4月に在留期間満了の方も在留期間満了日の1か月後まで受け付けられます。

したがって、例えば4月12日に期間満了になる方の場合は、5月12日に在留期間更新の申請をしても受け付けられます。

一方で、在留資格「短期滞在」及び「特定活動(出国準備期間)」で在留する外国人は除外されます。

つまり、観光や仕事で短期滞在で来日している場合、特別な理由で短期滞在ビザを更新したいような場合は、期限までにしないとオーバーステイになります。

また、在留資格の変更や更新申請をして不許可になり、1か月の特定活動(出国準備期間)を与えられている場合も同様です。

全ての在留資格で在留期限を1か月過ぎても在留資格の変更申請や更新申請が受け付けられると勘違いしないように注意しましょう。

また申請が遅れても大丈夫なのは1か月だけです。例えば3月の在留期限の外国人が5月に在留期限を更新することはできませんので、ご注意ください。

ただ、この取り扱いは、多くの外国人は取り扱いを勘違いしており、大きな問題をはらんでいます。

まずそもそも論として、入管は「3月や4月が在留期限で、変更と更新申請をを1か月先まで受け付ける」といっているだけで、何も申請せずに在留期限が満了したらオーバーステイです。

これは入管もアナウンスの仕方がかなり悪いのですが、入管では問題なくても、法的には在留期間満了後に何の申請もせず日本にいてたら不法残留ですから警察に職務質問を受けたら逮捕されるかもしれません。これはわかっていない外国人が多いですね。

なので、特別な事情がない限り、本来は期限内に申請することが重要です。

次に、「在留期間満了前に出国し、満了前に日本に戻るつもりであったが、滞在国で出国禁止もしくは日本への渡航禁止にあい、在留期間が満了してしまった場合どうなるのか?」という問題もあります。

この場合は原則は普通にいけば在留資格認定証明書の交付申請で在留資格をとり直しで、来日してしまったら上陸拒否するしかないように思います。

ただこの結論だと本人に非はないのに、人道的に大問題だと思います。また日本で9年働いていた人などは、うっかり出国したばっかりに、永住や帰化などに影響がでてしまいかねないです。

また日本でうっかり申請が遅れても1か月は大丈夫なのに、海外に出ている人は期限内にどうしても戻れない事情があっても在留資格を喪失するのはあまりに不均衡だと思います。

ですので、出国禁止や日本への渡航禁止のため日本に戻れなかったことが明白な場合は、本人に気の毒だから特例で入国時に無理やり遡って更新扱いにするような特例措置も検討すべきかと思います。

そして、例えば「3月15日に在留期間が満了する方が何の申請もせず、在留期間が自動的に1か月延長されていると勘違いして(?)3月25日に出国しようとした」というケースを考えてみます。

この場合は法的には不法残留かと思うので、原則出国は認められないはずです。

しかし、入管のアナウンスがあいまいだったこともあり、かなりの数の外国人が在留期間が1か月自動で延びたと勘違いしています。

この場合、一旦短期か何かを付して特例で出国させるのでしょうか。

以上から、新型コロナウイルス対応で在留期限が1か月延びるというのは嘘であるというのが結論です。

外国人の勘違いを誘発したことにより一時的に不法残留になるケースが今後多発すると思われ、入管は早めにきちんとしたわかりやすいアナウンスをすべきかと思います。