中国人の帰化申請、永住許可申請の決定的な違いは?

中国人の経営者や中国人の労働者の中には、日本で就労して年月を経ると、職種の制限のないさらに安定的な在留資格がほしい、という感情が芽生えてきます。

そこで、候補となる「永住資格申請」や「帰化申請」を検討することになります。

このときに悩むのが、「永住許可」と「帰化申請」ではどちらがいいのか?ということです。

帰化も永住も、就労活動制限はありませんので、原則的にどのような仕事でも行えます。

その一方で、「帰化」は中国人から日本人になる、ということを意味しますので、国籍変更を伴う手続となります。

すなわち、「帰化」が日本国籍を取得し日本人になる、という国籍の問題であるのに対し、「永住」は、国籍が中国のままで日本に永住しようという在留資格制度上の問題という決定的な違いがあります。

中国人の方で、仕事上1ヶ月以上中国に出張することが多い場合には、日本国籍を取得することによって中国の就労ビザが必要になったりするので、これが帰化を躊躇する理由の一つになっている場合があります。

 

日本の帰化申請と永住許可申請の特殊性

順序からいえば、まずは在留資格が変わるだけの永住資格をとってから、国籍変更を伴う帰化という流れが自然で、他の国の法制でも永住を取得してから帰化申請を認める法制も多いです。

しかし、日本では、ちょっとした「ねじれの関係」が生じています。

これはどういうことかというと、日本では、永住より帰化の方が原則的に短い在留期間で認められているのです。

具体的には、永住の永住許可を得るには原則として10年の在留期間が必要ですが、帰化許可要件を満たすには原則として5年の在留期間で足りるのです。ですから、永住許可を得ずに一足飛びに帰化申請をする人も多いです。

普通に考えると国籍が変更される帰化申請より外国人であることに変わりのない永住申請の方がより少ない年数で認められそうなものですが、日本国としては、永住より帰化の方をより推進する考え方を採っています。

中国人の帰化のメリット

では、中国人が帰化するメリットは何でしょうか?

一般に、帰化のメリットとしては、以下のことがあげられます。

①日本の出入国が自由になり、再入国許可が不要になる
②選挙権・被選挙権の取得
③年金・保険・教育・福祉等社会保障の面で日本人と同等の権利を取得

④日本人と結婚した場合、身分事項記載ではなく同一の戸籍に入籍できる

⑤公務員への就職が可能になる
⑥日本国のパスポートにより、多くの国ヘビザなしで渡航できる
⑦不動産が所有しやすくなる
⑧住宅ローンや自動車ローンなどの融資が組みやすくなる

 

 

中国人の帰化のデメリット

逆に、中国人の帰化のデメリットとしては、以下のことがあげられます。

①日本は二重国籍を認めないため、中国の国籍を喪失する
②中国に里帰りする際、渡航にビザが必要になる
③再び中国に帰化し直すのは事実上難しくなる

 

中国人の帰化申請の条件

では、中国人が帰化申請を行う場合、どのような条件が必要なのでしょうか。

一般的には、以下のような条件が必要になります。

帰化の一般的な条件には、次のようなものがあります(国籍法5条)。

① 居住要件(同条1項1号)

引き続き5年以上日本に住所を有すること

→注意すべきは、「引き続き」という点です。トータルで5年以上在留期間があっても、出産や海外出向等で途中で半年以上海外に在住したような場合は原則としてこの要件を満たしません。

② 能力要件(同項2号)

年齢が20歳以上であり、かつ、本国法によっても行為能力を有すること

③ 素行要件(同項3号)

素行が善良であること

→素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として、社会通念によって判断されます。

例えば、税金の未納があることや交通違反が多いこと等はこの素行要件を満たさないことにつながります。

④ 生計要件(同項4号)

自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産または技能によつて生計を営むことができること

→生活保護などを受けなくても生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけることが必要です。

この条件は生計を1つにする親族単位で判断されるので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産や技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすことになります。

 

⑤ 重国籍防止要件(同項5号)

国籍を有せず、または日本の国籍の取得によって、原則として外国籍を失うべきこと

→帰化しようとする人は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。

 

なお例外として、本人の意思でその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります(同条2項)。

 

⑥ 憲法遵守要件(同項6号)

日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法またはそのもとに成立した政府を、暴力で破壊することを企て、もしくは主張し、またはこれを企て、もしくは主張する政党その他の団体を結成し、もしくはこれに加入したことがないこと

→日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような人、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような人は帰化が許可されません。

これらは、日本に帰化するための最低限の条件を定めたものであり、帰化については国に広範な裁量が認められますので、これらの条件を満たしていたとしても、必ず帰化が許可されるとは限りません。

 

ただし、日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の者)については、一部緩和されています(同法6粂から8条まで)。

 

中国人の帰化申請に必要な書類

 

実際の帰化申請にあたり揃えるべき資料は膨大な量になります。特に中国人の場合は、戸籍の作成のため、両親・兄弟姉妹まで正確な公証資料(中国の公証処作成の各種公証書)が要求されるので、それらを本国から取り寄せるのに苦労します。

ですから、本国の書類の取り寄せについては早い目にとりかかっておいたほうがいいと思われます。

実際に中国人の帰化申請に必要な一般的書類は以下のとおりです。ただし、実際には個人の状況により大きく異なりますので、帰化専門の行政書士のサポートを受けつつすすめていくのがよいでしょう。

 

(必要書類リストの一例)
帰化許可申請書(写真貼付)
親族の概要(日本・外国)
履歴書(卒業証明書、在学証明書、資格証明書も必要)
帰化の動機書
国籍退出証明書
宣誓書
パスポートの写し
身分関係を証する書面(出生公証書・結婚公証書・死亡公証書・親族関係公証書等)
住民票
在留カードの写し
生計の概要(在勤・給与証明書、不動産登記事項証明書、預貯金通帳の写し、賃貸借契約書等)
事業の概要(法人の登記事項証明書、営業許可書等)
住民税課税証明書、納税証明書(個人)
法人税納税証明書・源泉徴収簿・確定告書等(法人)
年金保険料の納付証明書
運転免許証の写し
自宅、勤務先、事業所付近の略図

 

 

帰化申請の手続きの流れと注意点

 

帰化申請は代理申請できない

帰化申請は、申請する本人が直接しなければならず、弁護士や行政書士、司法書士はもちろんのこと、親子兄妹、夫婦であつてもお互いに代わって申請することはできません。

法定代理人以外は代理人による申請も許されず、本人申請が帰化許可申請の原則となります。

これは、帰化申請が国籍を変更する重要なものであるため、本人の意思確認が重要だからです。

 

帰化申請の申請は法務局へ

帰化申請の申請先は、申請者の住所地を管轄する法務局の国籍課または戸籍課および国籍事務を扱っている支局の窓口です。

申請先を確認したら、まず電話をして事前相談の予約をとります。事前相談の予約については、予約が不要(できない)法務局もあります。

事前相談の場で、各申請者の事情に応じて提出が必要な書類等の情報が提示されますので、その情報に基づいて、必要な書類を収集し、書類を作成し、申請先に提出します。ちなみに申請料は無料です。

 

申請当日の注意点

帰化許可申請書の「申請年月日」、「申請者又は法定代理人の署名」および「宣誓書の署名」は空欄としておき、受付の際に記載します。

なお、写しを提出書類とする場合は、原本と照合する必要があるため、必ず原本を持参します。
申請受付の際は、申請人自らが法務局に出向いて書類を提出します。

提出書類に基づいて当日面接がされますが、提出後に再出頭を求められることもあります(身分関係で帰化申請する場合は家庭訪問もあります)

法務局によっては書類提出前に、まず出頭して説明を求められることもありますので、事前に確認してください。

なお、行政書士に帰化申請のサポートを依頼した場合、申請当日の代理出頭だけは代理できませんが、申請前の事前相談から書類の収集、作成を行ってくれますし、アドバイスもしてくれますので、個人の負担は5分の1~10分の1ぐらいにはなると思います。

ですので、もし仕事が忙しくて時間が取れないような場合は、帰化専門の行政書士に依頼するのはひとつの方法かと思います。

 

帰化申請の面談について

面談では、日本語能力(小学校3~4年生程度)が問題にされます。初回面談時に、日本語について問題がある可能性があると法務局の担当官が考えた場合、日本語のテストが実施されます。

この場合、漢字、ひらがな、カタカナの文を書くなどの日本語のテストが行われ、これをクリアしないと先にすすめなくなります。

中国人の場合、留学生から就労ビザを経て帰化するような場合は通常問題ありませんが、日本人の配偶者で、来日後の期間が短い場合等は日本語能力が不十分で受付されないケースが散見されますので、ご注意ください。

中国人の帰化申請の判断基準

帰化申請をしても許可になるのは、1年近く先になるので、申請書提出前はもちろん提出後も慎重な行動を心がける必要があります。

ですから、帰化申請後に海外に行ってしまって帰ってこなかったり、税金を未納したり、交通違反を繰り返したりすれば当然不許可になります。

帰化許可の判断基準は公開されていませんが、帰化は日本国籍を与えるここもあり、書類に不備がないことはもちろん、外国人の日本への定着度や日本社会に対する貢献度が総合的に判断されます。

 

帰化許可後の手続き

帰化が許可されると、法務局から身分証明書が交付されます。その場合、1カ月以内にこの身分証明書を添付して、現離地または新たに定めた本籍地の市区町村役場で帰化の届出をしなければなりません。

日本人になった以上、中国国籍は喪失することになり、外国人の在留カードは不要であるため、返納しなければなりません。

 

当事務所のサポート

 

当事務所では、帰化申請にお困りの方のため、10年以上にわたり、帰化申請を専門とする行政書士によるサポートを行っております。

帰化申請のことでお悩みの方は、一度ご相談下さい。

 

帰化申請申請サポート標準費用:15万円(税別)~

 

お問い合わせは・・・

TEL:06-6375-2313(※相談予約制)

フロンティア総合国際法務事務所 まで!

 

 

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